未来の環境より今日の利益が大事だから、企業は脱炭素化を急ぐ

小泉進次郎環境大臣の「セクシー」発言や、スウェーデンの環境活動家グレタさんの演説で話題になった「国連気候アクション・サミット2019」。

国家や自治体が動き始めている機関投資家や銀行、企業も気候変動をリスクと捉え、動き始めているとのこと。

 

gendai.ismedia.jp

 

特に機関投資家が行った共同宣言は規模的にも影響力はありそう。

参加した機関投資家は515機関で運用総額は3,770兆円。
世界の株式市場の時価総額は78.3兆ドルで、1ドル108円換算なら8456兆円なので、
44.5%を占めますね。資産運用3巨人、バンガード・グループ、ブラックロック、ステート・ストリートは3社で1000兆円に迫るそうですが、その3.7倍の規模ですか。。かなり大きい。

 

「サミットに参加する各国政府に対し注文をつける共同宣言」がどれほどの影響を発行体(事業会社)に及ぼすのかわかりませんが、いずれにせよ、資本市場は気候変動は経営リスクであるとはっきりと認識しているということだと思います。

 

そりゃそうですよね、将来生み出すと考えられるキャッシュフローを現在価値に割り戻した株式価値を一つの指標にして投資判断をしているプロ集団にとって、5年先〜10年後くらいにその企業の経営環境がどう変化し持続的にキャッシュフローを生み出すことができるかどうかを検討するのは、当たり前っちゃ当たり前です。

 

しかも気候変動は、AIが今後どこまで社会に浸透するのか、自動運転がどのレベルでいつ既存の交通インフラを破壊するのか、5Gがコミュニケーションをどう変えるのかといった様々なイノベーションよりもはるかに、リスクとして認識することが容易です。

気候変動は、VUCA的な意味で読めないものでは全然なくて、「(悪くすれば)2030年には平均気温が1.5℃上昇して海面上昇、干ばつ洪水など異常気象が増える」ことが科学的に明らかになっています。
(GPIFの水野さんも近しいことをどこかでおっしゃっていたかと思います。)

 

普通に考えれば、この影響は企業活動に及ぶものになることは間違いなく、グローバルに展開し時価総額の大きい多国籍企業ならなおさら影響は甚大なものになるでしょう。大切な運用資産を、これから淘汰されるであろう温室効果ガスをバンバン出しまくっている企業に投資するわけにはいかないでしょうからね。

 

環境NGONPOの方にとって大企業や金融機関は仮想敵的な色彩が強いかもしれませんが、それはそのどちらもが「お金儲けのことしか考えていない」という理由だからかもしれませんが、(そして実際それは事実かもしれませんが、、(how dare you!))、今起きているのは、大企業や金融機関も「このまま気候変動が進むと儲からなくなる」と気づき始めているということです。

 

なので、ビジネスをやっている人なら、気候変動に危機感もって当たり前なんじゃないかなと思うのですが実際どんな感じなんでしょうか。「グレタさんは背後にいる環境団体の悪い大人に操られている」とか、「日本は省エネ技術で環境に貢献してきたのに」とか、もし経済界の方が言っているのだとしたら、先見性は大丈夫かえと思ってしまいます。

 

www.sustainablebrands.jp

 

例えば、石炭関連の事業は本当にやばいと思う。そもそも石炭の使用を完全にゼロにしないと歯止めがきかないところまで気候変動は進んでいて、例えば発電なら石炭を天然ガスに置き換えて天然ガス再生可能エネルギーに置き換える、今化石燃料使っている産業や運輸、民生部門はできるものは電化する、などを徹底すればようやく平均気温上昇を1.5℃未満に抑えられるシナリオがある中で、石炭は完全に座礁資産も良いところ状態。石炭で稼いでいる会社は早くアセットを有効活用して別の事業に進出していかないと立ち行かなることは目に見えています。

 

「地球が(北極のシロクマさんが)危ないから、気候変動の対策をしなくちゃ」ではなく、
「今の仕事で飯が食えなくなるから、気候変動対策をしなくちゃ」になっていく。

 

中国とアメリカで温室効果ガスの大部分を出してるんだから、
2カ国が気候変動に本気ださなきゃ意味ない、、と私も以前思っていましたが、
もう局面が変わりましたね。
世界が気候変動に対応できるかどうかは別として、
企業経営のトレンドが脱炭素化になってくるということの方が、
企業にとっては重要度の高い問題になる、ということなんだと思います。

 

経団連とか経済同友会とか、その辺りどういうスタンスなんでしょうか。