小さいシステムをもつ 映画「おだやかな革命」

結構前のことになってしまうのですが、映画「おだやかな革命」をポレポレ東中野で見てきました〜。

 

 

《予告編はこちら》

https://youtu.be/27kAAZEAizA

 

概要としては、

福島の会津飯館村岐阜県郡上市の石徹白地区、秋田県にかほ市岡山県西粟倉村などを舞台に、「自らの手で仕事や暮らしを作っていく人々が、手を携えながら新しい時代を切り開いていこうとする姿」を描いたドキュメンタリー

ということになるかと思います。

 

「時代を切り開く」と言うと、坂本龍馬的なものや西郷隆盛的なものを感じさせますが、そこは映画のタイトルにもあるように、あくまで「おだやかな革命」。日々の暮らしを変えていくことから、コリコリに固まった今までの常識や当たり前とされている価値観を解きほぐしていこうという、しなやかなレボリューションなのです。

 

一体何の話?という感じですが、映画のテーマはとてもシンプルで、

 

「暮らしの選択」

 

この一点だと思います。

 

もちろん「再生可能エネルギーを活用した地域再生」とか「地方と都市の新しい関係づくり」などもとても重要なテーマだと思いますし、実際そういう文脈でも語られているのですが、何が一番大きなテーマかというと、この「暮らしの選択」かと。

 

つまり、「都会で、満員電車に乗って会社で必死に働いて、年収やステータスを追い求めるのって、楽しいですか。。?」と映画は問うてくるわけです。(そんなセリフがあったわけではないですが)

 

そうなんですよね、、自分自身、東京23区内に住んでいて会社で働いて、家族のためにと頑張っているわけですが、ちょっと落ち着いて考えると、ストレートに「楽しい」とは言い切れない。それに食べ物とかエネルギーも基本外から入ってきたものを食べたり使っているだけで、根無し草っぽさはあるなぁと感じています。それでいいのか!?

 

(あ、でも電気は自然電力(株)さんの「自然電力のでんき」に切り替えました。我が家の電気は再生可能エネルギー成分が含まれております。)

shizendenryoku.jp

 

映画のなかでは「こんな暮らしの選択肢もあるよ」とおだやかに提示してくれています。たとえば、岐阜県郡上市にある小さな集落、石徹白に移住した、平野彰秀さんと平野馨生里さん夫婦。平野さんは地域に暮らす人々と一緒に、小水力発電事業をいくつも実現させ、地域に活気が生まれているそうです。平野馨生里さんは、石徹白に伝わる伝統的な野良着に着目した服づくりをする「石徹白洋品店」を営んでおられます。

 

映画の中では夫婦で古民家に住み、地域で採れた食べ物を食べたり、小さいお子さんを連れてちょっとした散歩で自然の中を歩いたり。。満員電車とも無縁、会社の中でのあれこれとも無縁の暮らしを実践されています。

 

お二人の暮らしと地域については、greenzに素敵な記事がありますね。

greenz.jp

 

平野さん曰く「これからの時代は、食やエネルギーを自給できる石徹白のような山村にこそ可能性がある」。すごいビジョンをお持ちですし、実際に移住して行動して地域の活性化の中心にいらっしゃることもまたすごい!

 

このビジョンと行動の背景には、

「何もかも他人に任せるようになった大きなシステム」への危機感

があったのだと思います。(映画のパンフのコラムでそのような旨を書かれています)

 

都心に住んでる私は、何か食べようと思ったら駅前のスーパーSEIYU(ウォルマートが売却したらどうなっちゃうんでしょう)に行き、水や電気やガスはアパートに備え付け。服や雑貨は新宿でお買い物、という暮らしです。もし家のエアコンが故障したら、僕はアパートの管理会社に電話して直してもらおうとするでしょう。もし家の前の道路に隕石が落ちてきてアスファルトがぐちゃぐちゃになってしまったとしたら、僕は自分で直そうとはせずに、区の窓口に相談するでしょう。端的に言って「大きなシステム」の中で暮らしています。お金がないとどうにも回っていかないシステムであり、自分で何を作り出すことが少ないシステムです。

 

対して、平野さんがおっしゃるのは、大きなシステムに問題が起きたときに、

自分たちでもなんとかできる小さなシステム」をもっておくことの大切さ。

 

確かに。今近くのスーパーが全部お休みしてしまうと、本当に食べるものがなくなってしまいます。。それって弱さですよね。。

 

生きていくために必要な食やエネルギーは自分で作る。何かあったとき助け合い、協力にして問題を解決できる人との関係性がある。そんな「小さなシステム」があると、生きる上ではとても強い。まさにそうだと思います。

 

そして、そんな小さなシステムを作ることそのものが楽しいことなんじゃないですか、、というメッセージを、映画の中の美しい自然の風景や音楽からも感じ取るわけです。

 

「大きいシステムに依存せず、小さいシステムをもっておく」。そういう暮らしを選択することができるし、もう実践している人がいますよ、と。そんなことを教えてくれる映画でした。

 

全国で自主上映、まだまだやっているみたいですね〜。