100年後の子供たちのために温暖化を回避した世界を残し、1000年後の子供たちに放射性廃棄物を残すこと

ずいぶん遅れて読みましたよ、『エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ』。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%94%A3%E6%A5%AD%E3%81%AE2050%E5%B9%B4-Utility3-0%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B8-%E7%AB%B9%E5%86%85-%E7%B4%94%E5%AD%90/dp/4532321700

 

執筆された方々は元東電の竹内純子さんや東京電力パワーグリッド株式会社 取締役副社長の岡本浩さんなど、わりと東電寄りというか。。

 

原発デモに主体的に参加しているような方にとっては穏やかな気持ちで読むのは難しいんじゃないか?なんて読む前は思っていましたが、結構大胆に「2050年電力小売事業はなくなる」とまで身内の身を切ること言っていましたね。(東電エナジーパートナーの運命は!?)

 

日本のエネルギー事情や世界の動向、テクノロジーの進歩を踏まえ、かなり冷静な議論をされているという印象を持ちましたし、ぐいぐい引き込まれました。

 

特に原発については「冷静に考えたらそうだよな、、」と納得してしまう部分も多い。

・脱炭素化のムーブメントが高まる中、2050年にCO2を80%削減するという目標の達成は極めて重要。

・そのためには、運輸部門や民生、産業部門などの電化が不可欠。ガソリン車から電気自動車へ。ガスコンロからIHへ。

・すると電気の使用量は今より増える。革新的な省エネ技術が浸透したとしても、化石燃料代替エネルギーとしてクリーンな電気は増える。

・電気をまかなう上で、再生可能エネルギーは重要な発電源だが、不安定性は回避できないし、発電の絶対量を確保するためにこれまでの大規模集中型の発電施設は必要。

・石油石炭天然ガスは脱炭素化の流れの中で拡大はできない。原発はその点CO2を排出しないという意味でクリーンなエネルギーである。だから原発は残さなければならない。

 

地球温暖化を危惧するのであれば、原発は有効な手段になる。でも一度事故を起こせば取り返しがつかなくなり、現に今福島第一原発事故の影響で、何人の人が人生を狂わされたかわからないし、これからも狂わせ続けることになる。それでも、気候変動を回避するための必要悪と言い切れるのか、、というモヤモヤはやはり残りました。